今回は、墓じまいの仕方・手順について、具体的に説明します。
墓じまいの準備
墓じまいの事前準備として、以下の3点を実施しましょう。
- 現在のお墓の課題を整理する
- 新しい納骨先の候補を決める
- 親族間で相談し同意を得る
現在のお墓の課題を整理する
まずは、現在のお墓に対する課題を整理します。
今のお墓に対する課題を整理すると、下記を明確にできるからです。
- 親族からの同意を得る際の説得材料
- 新しい納骨先を決める際の判断材料
墓じまいの検討を始めると、様々な方からの意見を耳にすることになります。自分たちの考えをまとめておくことで、後悔のない墓じまいをしましょう。
新しい納骨先の候補を決める
つぎに、新しい納骨先の候補を決めます。適切な代替案がないと、今のお墓の課題を解決できないためです。
まずはフローチャートで診断してみましょう。新しい納骨先のタイプを明確にすることで、実際に納骨する場所の候補を絞り込むことができます。

フローチャートでの診断結果に悩む場合は、お墓のタイプごとの特徴を知るとよいでしょう。
永代供養墓・合祀墓

- 寺院や霊園に供養を続けてもらうことができるお墓
- 遺骨を納めてから一定期間後などに、他の人の遺骨とともに埋葬する
- 他の遺骨とともに埋葬すると、個別でのお参りはできなくなる
納骨堂

- 霊園や寺院の建物内に遺骨を保管する形式のお墓
- 仏壇式、位牌式、自動搬送式など様々な形式があり、個別でのお参りが可能
- 将来、永代供養墓に合祀するなど、継承者がいない場合でも購入可能
樹木葬

- 墓標となる樹木の周辺に、遺骨を個別に安置する形式のお墓
- 個別でのお参りができるが、遺骨を土に還すため、取り出しは難しい
- 永代供養のため、継承者は必要ない
海洋葬

- 遺骨を粉状にして、海に散布する方法
- お墓がないため、費用が少なくて済む
実際に訪問して、新しい納骨先の候補を決める
納骨先のタイプが明確になりましたら、親族も含めて納得感を得られそうな納骨先をみつけましょう。
- 納骨先のアクセス:親族も含めて、交通アクセスは問題ないか
- 納骨先の管理状態:新しい納骨先として、十分な管理がなされているか
- 納骨先の費用:将来の負担も含めて、予算の範囲内に収まっているか
納骨先の情報は、ホームページやパンフレットからも確認できますが、実際に足を運んでみることをおすすめします。
親族間で相談し同意を得る
納骨先の候補が見つかりましたら、親族間で相談し同意を得ます。
- 墓じまいの背景について、現在のお墓に対する課題を伝えます
- 今後の供養方法について、新しい納骨先の候補を例に説明します
- 費用の見通しについて、親族にお願いすることがあれば明確にします
親族間の同意を得ずに墓じまいを進めると、トラブルに繋がります。一度取り壊したお墓を元に戻すことは困難ですので、十分に会話することをおすすめします。
墓じまいの申し込み手続き
墓じまいの事前準備が終わりましたら、申込み手続きをはじめます。墓じまいの申込手続きでは、大きく分けて4つの手続きが必要です。

まずは、独力で墓じまいをする場合の手続き方法をご紹介します。
自治体の改正許可申請書の入手と申請
墓じまいの実施にあたり、改正許可申請書を入手します。

改葬許可申請書は、遺骨を別のお墓や納骨堂などへ移す際に必要となる役所への申請書類です。この申請書を提出して、改葬許可証を受け取ることで、遺骨を移動できます。
改葬許可申請書のフォーマットは、自治体ごとに異なります。現在の墓地管理者と新しい納骨先の署名が必要になることがあるため、事前に取得しておくとよいでしょう。必要事項を記入後、改正許可申請書を申請します。
現在の墓地管理者への連絡と承諾
次に、現在の墓地管理者の連絡と承諾を得ます。
- 墓じまいの意向と理由を説明して、理解を得る
- 遺骨を取り出す時期や工事内容、費用について、管理者の希望を確認する
- 墓じまいの方針を管理者と合意し、改正許可申請書の署名をもらう
遺骨を取り出す時期について、宗派によっては、閉眼供養というお墓から魂を抜く法要を行います。法要の実施日や参加者など確認しておくとよいでしょう。
遺骨を取り出す工事内容については、墓石の撤去作業の依頼先や作業内容について、指定がないか確認しましょう。
費用については、離檀料を確認しましょう。離檀料は、菩提寺から離れる際のお布施です。基本的に寺院側からの指定はないはずですが、もし合った場合は検討しましょう。
新しい納骨先との契約と承諾
次に、新しい納骨先との契約を行います。
- 新しい納骨先の契約内容を確認して、契約する
- 納骨の時期や内容について、新しい納骨先の希望を確認する
- 納骨の方針を管理者と合意し、改正許可申請書の署名をもらう
お墓の撤去・移送業者との契約
最後に、お墓の撤去・移送業者との契約です。
お墓の撤去では、現在の墓石を撤去したうえで、更地に戻します。また、現在の墓地にあるお骨を取り出したうえで、新しい納骨先に移動します。これらの作業は、専門業者と依頼することになります。
お墓の撤去や移送業者選びについては、現在の墓地管理者に相談するとよいでしょう。料金などをなるべく安く済ませたい場合は、代行サービスの利用も良いです。
契約する際は、撤去費用や工事の流れ、遺骨の取り出し予定日などを合意しましょう。
墓じまいの実施、当日の流れ
墓じまいの手続きまで説明しましたので、当日の流れについてご紹介します。
閉眼供養と遺骨の取り出し
- まずは、現在の墓地管理者にて閉眼供養を行います
- 閉眼供養は、現在の墓地から魂を抜くための法要です
- 閉眼供養後に、遺骨を取り出します
墓石を撤去と原状回復
- 専門業者にて墓石を撤去します
- 墓地の原状回復に努めた後、管理者に返還します
- 閉眼供養や離檀料としてお布施を渡します
新しい納骨先への改葬
- 新しい納骨先に、お骨を移動します
- 個別の墓石を設ける場合は、新たに開眼供養を行います
- 新しい納骨先での改葬が終わりましたら、墓じまいは完了です
墓じまい代行サービスについて
最後に、墓じまい代行サービスをご紹介します。
墓じまいを進めるためには、現在の墓地管理者や新しい納骨先、お墓の撤去業者との綿密なやり取りが必要です。親族や自治体とのやり取りもありますので、多くの時間と労力がかかります。
これらの課題を解決するするのが、墓じまい代行サービスです。
- 自治体への申請手続き代行
- 現在の墓地管理者とのやり取り代行
- お墓の撤去移送業者の手配
- 新しい納骨先の紹介、契約仲介
墓じまいに時間や苦労をかけたくない方は、検討してみてもよいでしょう。
まとめ
今回は、墓じまいの仕方と手順をご紹介しました。
- 現在のお墓の課題を整理し、新しい納骨先の候補を決めて、親族の同意を得る
- 自治体の改正許可申請書を入手し、現在の墓地管理者と新しい納骨先の承認を得る
- 現在の墓地管理者や新しい納骨先、お墓の撤去業者と協議し、墓じまいの手筈を整える
- 当日は、閉眼供養後に遺骨を取り出し、墓地の原状回復を済ませ、新しい納骨先に改葬する
皆さまのご参考になれば幸いです。